地質調査研究報告
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論文
地形と地質データに重ね合わせた衛星画像リニアメントに基づく 九州の断裂系の特徴抽出
小池 克明古宇田 亮一植木 俊明
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2001 年 52 巻 9 号 p. 405-423

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抄録

主要なリニアメントは,鉱物資源や地熱資源、を旺胎させる断層破砕帯と関連する場合が多い.したがって,陸域と海底の両方を対象としたリニアメント解析は,局所的・広域的な断裂系の特徴を広く理解するのに重要である.この理由から,線素追跡アルゴリズム(STA)と称するリニアメン卜自動抽出法,およびリニアメントデータと数値地形モデル(DEM)データとを組み合わせ,推定断裂面の走向・傾斜を算定するベクトル解析j去を開発した.九州を解析対象地域に選び,LANDSATTMバンド4データを用い,3枚のフルシーン画像から77,893本のリニアメン卜を抽出した高品位の浅熱水性鉱脈型金鉱床の周辺においては,連続性の良い推定断裂面の方位が主要鉱脈の方位と概ね対応し,鉱床脹胎と断裂系生成との関連が見出された.九州中部の豊肥地熱地域では,熱水が深部から地表へと上昇する際に通路となり得る重要な断裂が推定できた.さらに,水深データを補間することでlkm格子間隔のDEMを作成し,この陰影図を用いて海底地形のリニアメント解析を行った.陸域と海底のリニアメン卜図の組み合わせは,2つの地域に連続する地質構造的に重要なリニアメントを見出し,断裂系の形成メカニズムの 考察において有効である.

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© 2001 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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