本研究の目的は,地域在住の女性高齢者を対象にヘルスリテラシーと身体機能,心理機能および運動習慣との関連について検討するものである。研究デザインは横断研究で,Y市の体力測定会の参加者を対象とした。方法は,対象者の背景と日常生活状況,ヘルスリテラシー,運動習慣を自己記入式の質問紙調査で行い,身体機能(筋力,柔軟性,バランス能力,歩行能力)および心理機能(主観的健康感,生活満足度)を評価した。統計解析は傾向スコアを用いて交絡因子のコントロールを行い,その後ヘルスリテラシーに影響を及ぼす因子を明らかにするため,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。解析の結果,ヘルスリテラシーに関連する因子として抽出されたのは,主観的健康感と運動習慣であった。これらのことから,ヘルスリテラシーを高めるためには,主観的健康感を高めるような取り組みと運動習慣を定着させるような取り組みが必要になることが示唆された。