人間生活文化研究
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コロナ禍における学校休業中の小学校2・3年生と保護者の生活
―Web調査の結果をもとに―
伊藤 秀樹酒井 朗林 明子谷川 夏実
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2021 年 2021 巻 31 号 p. 176-185

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抄録

 本稿では,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校休業中に,小学校等(小学校,義務教育学校,特別支援学校小学部)の2・3年生とその保護者がどのような生活を送っていたのかについて,調査モニターを対象としたWeb調査の結果をもとに検討した.その際,①小学校等の1年生とその保護者との共通点と差異,②世帯の暮らし向きや世帯構造による差異,という2点を明らかにすることを目指した.

 分析結果からは,2・3年生とその保護者について,保護者の大多数は子どものケアや教育にかなり力を入れて取り組んでいたが,コロナ禍や学校の休業が無視しえない割合の子どもにストレスや不安を生じさせていたこと,学校からの宿題が子どもや保護者に大きな負担をかけていたこと,子どもの勉強の遅れに関する保護者の心配に学校が十分に対応できていなかったことなどの,1年生とその保護者と共通する傾向が見出せた.一方で,1年生とその保護者との差異としては,①保護者による子どもへのケアは1年生ほどには手厚くなかったこと,②保護者が1年生以上に勉強や宿題への不安・心配を抱きやすかったこと,③子どもの登校意欲は1年生より維持されている傾向にあったこと,の3点が明らかになった.

 世帯の暮らし向きによる差異としては,暮らし向きが苦しい家庭の方が,学校休業中に子どもの生活リズムを維持することや,子どもの学習環境を整えること,子どもにさまざまなケアを提供することなどが難しかった様子が明らかになった.その背景には,保護者の学校休業中の出勤頻度の高さがあることも示唆された.なお,世帯構造による差異は,今回の分析からはほとんど見出すことはできなかった.

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© 2021 大妻女子大学人間生活文化研究所
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