2002 年 24 巻 3 号 p. 337-343
多剤抵抗性の難治性心室頻拍(VT)・細動(VF)にべプリジルが著効を示した虚血性心筋症の一例を経験した. 症例は68歳男性. 冠動脈造影にて虚血性心筋症と診断. VT・VFが頻発するため, アミオダロン内服及びニフェカラント持続静注, 及び植え込み型除細動器(ICD)植え込み術施行. 持続性VTが再発するためベプリジル内服投与をしたところ, VT・VFの再発は抑制され, ニフェカラント持続静注からの離脱が可能となった. ICDとベプリジルによる致死的心室性不整脈の停止と予防, さらにペーシングによるベプリジルのQT延長作用によるTorsades de Pointesの抑止という治療(hybrid therapy)が有用であった症例と考えられた.