Journal of UOEH
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肺音聴診シミュレータ "Mr.Lung" を用いた新しい医学教育
吉井 千春安西 崇矢寺 和博川尻 龍典中島 康秀城戸 優光
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2002 年 24 巻 3 号 p. 249-255

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抄録

当教室と株式会社京都科学で共同開発した肺音聴診シミュレータ "Mr. Lung" を実際の医学教育で使用し, 教育効果を確認した. 対象は産業医科大学医学部5年生100名. 臨床実習でローテートしてきた学生に対し, 90分間の肺音聴診教育を行った. 最初に肺音分類の概説を行った後, 3症例についてシミュレータに聴診器をあてて聴診し, 肺音の「異常の部位・種類」を解答させ, 解答の解説と鑑別方法を説明した. また聴診教育の前後で5段階法による聴診能力の自己評価を行った. その結果, 聴診の正答率は, 呼吸音の左右差; 36.9%, coarse crackles; 52.5%, fine crackles; 34.1%, wheezes; 69.2%, rhonchi; 62.1%, stridor; 22.2%であった. また聴診能力自己評価はすべての項目において講義後に有意に高得点を示した. 学生の肺音聴診能力は教育者側の予想以上に悪く, シミュレータを用いた繰り返しの聴診教育が必要と考えられた.

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© 2002 産業医科大学
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