Journal of UOEH
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末梢神経再生に対する合成ピリミジン化合物MS-430の投与効果
―形態計測学的研究―
大西 晃生山本 辰紀村井 由之粟屋 昭
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1995 年 17 巻 2 号 p. 131-139

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抄録

合成ピリミジン化合物の一つである2-piperidino-7-methyl-6-oxo-5,6-dihydro(7H)pyrrolo [2,3-d] pyrimidine maleate (MS-430)が, in vivoでも末梢神経有髄線維の再生を促進させるか否かを検討することを目的とした. Sprague-Dawleyラットの右大腿中央部で坐骨神経に一定の挫滅処置を行った. 挫滅処置24時間後から1日1回14日間にわたり, 7頭にMS-430 1.0 mg/kgを(実験群1), 8頭にMS-430 7.5 mg/kgを(実験群2)投与した. また7頭に生理食塩水を投与した(対照群). 投与完了24時間後に両実験群および対照群では, 挫滅部近位端より末梢側7.5および15 mmの2カ所で腓腹神経を採取し, さらに同様に15 mmの1カ所で腓骨神経を採取した. そのエポン包埋横断標本を用い, 腓腹神経では各神経あたりの総有髄線維数を得た. 腓骨神経では, 神経束総横断面積, 有髄線維密度および神経あたりの総有髄線維数とその直径分布ヒストグラムを得た. 腓腹神経では近位部においてのみ実験群2の総有髄線維数が対照群に比較して高値(P<0.05)を示した. 腓骨神経では, 総有髄線維数が実験群1および2において対照群より高値を示したが, 3群間に統計学的に有意差は認められなかった. これらの結果から, MS-430 7.5 mg/kg投与ラットでは, 少なくとも挫滅部位から比較的近い部分では有髄線維の再生が促進されていると判断された.

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© 1995 産業医科大学
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