脳神経外科ジャーナル
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原発性脳腫瘍との鑑別に苦慮したtumefactive multiple sclerosisの1例
新甫 武也内之倉 俊朗横上 聖貴上原 久生丸塚 浩助福島 剛塩見 一剛京楽 格小玉 隆男矢野 貴徳竹島 秀雄
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2012 年 21 巻 8 号 p. 625-629

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抄録

Tumefactive demyelinating lesion (TDL)は2cmを超える孤発性の脱髄性病変と定義される.一方,tumefactive multiple sclerosis (TMS)はTDLを伴うmultiple sclerosis (MS)のまれな一亜型である.今回,われわれは原発性脳腫瘍との鑑別に苦慮したTMSの1例を経験したので報告する.症例は40歳,女性で多発性硬化症の既往があり,左同名半盲と着衣失行により来院した.MRIで右頭頂葉に5cmのリング状増強効果を伴う病変を認めた.鑑別としてTMS,膠芽腫を考えたが,神経放射線学的検査では鑑別困難であった.腫瘍との鑑別を目的に,ナビゲーションガイド下穿頭生検術を行った.病理組織診断で,MSで矛盾のない所見が得られ,腫瘍細胞はまったく確認されなかった.TMSと診断し,ステロイド投与を継続し,症状の改善が得られた.

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© 2012 日本脳神経外科コングレス
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