2010 年 19 巻 1 号 p. 50-56
片側顔面痙攣の筋電図検査で,顔面神経頬骨枝や下顎縁枝を電気刺激してその支配筋ではない口輪筋や眼輸筋からそれぞれ記録される電位は,片側顔面痙攣特有の異常電位(abnormal muscle response;AMR)といわれている.また,顔面神経下顎縁枝を刺激して生じた逆行性インパルスが顔面神経核から戻ってくるF波を,その支配筋であるオトガイ筋から記録すると,片側顔面痙攣では亢進している.F波のさまざまな記録解析より,片側顔面痙攣では,顔面神経核の閾値が低下し興奮性が亢進していることがわかる.この顔面神経核の興奮性亢進という概念は,片側顔面痙攣の臨床経過を,手術所見と併せて理解していくうえで重要と考えられる.