脳神経外科ジャーナル
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書痙の脳神経外科治療
平 孝臣堀 智勝
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2005 年 14 巻 5 号 p. 316-322

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抄録

書痙は上肢の局所ジストニアで, 大脳基底核などの機能異常によることが明らかにされている.しかし, 現在でも多くの医療者は書痙を心因性疾患と考え, 心理療法や抗不安薬で治療することが多い.ただ, このような保存的治療の効果は乏しい.同様の症状はピアニストなどプロの職業人にも多くみられ, 職業予後はよくない.書痙が心因性とみなされてきた背景には, ある一定の動作時のみ出現し他にはまったく症状ないこと(task-specific)が挙げられるが, これがジストニアの特徴の一つである.ジストニアでは動作特異性(task specificity), 症状の常同性(stereotypy), 感覚トリック(sensory trick)がみられる.書痙はジストニアのうちでも最も難治で, 欧米では異常緊張する前腕などの筋にボツリヌス毒素を局所注射する対症療法が一般的である.しかし本邦では頭頸部以外のジストニアに対する適応がない.これまで書痙に対して定位的視床核凝固術で良好な結果が得られた症例報告がいくつかあり, この数年筆者らは上肢の局所ジストニアである書痙に対して視床Vo核凝固を行い良好な結果を得ているので紹介する.

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© 2005 日本脳神経外科コングレス
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