頸動脈病変に対する薬物療法では,アテローム硬化の進展とプラークの不安定化を抑制する抗アテローム療法と,血栓の生成・発育を抑制する抗血栓療法が重要である.抗アテローム療法としては,高騰血症治療薬のstatinと降圧薬のACE阻害薬の有効性を示唆するエビデンスが集積されつつある.これらの薬物には脂質低下,降圧作用以外にも多面的な抗アテローム硬化作用があることが知られている.抗血小板薬であるアスピリンは脳梗塞の急性期治療薬ならびに再発予防薬としての有効性は確立しているが,一次予防に有効であるエビデンスはない.また,抗凝固療法は非心原性脳梗塞に対する急性期治療薬,再発予防薬としての有効性は明らかではない.