室内環境
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原著論文
湿式法を用いた空気清浄装置のたばこ煙および臭気除去性能評価(第1報)
野口 美由貴水越 厚史前田 康博佐伯 寅彦湯 懐鵬柳沢 幸雄
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2012 年 15 巻 2 号 p. 125-134

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抄録

既存の空気清浄手法に湿式法による臭気除去ユニットを加えた空気清浄装置(以下開発装置)について,臭気成分であるアセトアルデヒドを含むたばこ煙成分の除去効果をプロトン移動反応質量分析計(PTR-MS)により経時的に評価した。開発装置は,高性能除じんフィルター,活性炭フィルターから成る粉じん・VOC除去ユニット(Particulate and VOC Removal Unit : PVRU)の後段に新たに開発されたアミノ酸を含む薬液(化学吸収液)を用いた湿式の臭気除去ユニット(Odor Removal Unit : ORU)を配している。
実験ではアセトアルデヒドガスあるいはたばこ煙を開発装置に連続的に導入し,装置吸入口,PVRU後,ORU後(装置吹出口)の3点において試料空気中のアセトアルデヒド,たばこ煙成分および臭気濃度を測定し,各ユニットの除去効率を比較した。その結果,PVRU後では浮遊粉じん,ニコチンなど多くの揮発性有機化合物(VOC)の除去効果が認められたが,カルボニル化合物などの含酸素有機化合物と臭気の除去効果は不十分であり,アセトアルデヒドの除去率は時間経過とともに低下した。これに対してORU後ではアセトアルデヒドの95%が除去され,臭気は99%低減した。この効果はのべ400本のたばこ燃焼時まで持続し,薬液のアセトアルデヒド吸収容量は70 mg L-1以上であった。

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© 2012 一般社団法人 室内環境学会
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