日本冠疾患学会雑誌
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原著
単独オフポンプ冠動脈バイパス術における術中Intraaortic balloon pumping使用症例の検討
関 達也吉田 俊人
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2016 年 23 巻 1 号 p. 12-16

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抄録

【目的】オフポンプ冠動脈バイパス術 (OPCAB) にて完遂するためには,血行動態を崩すことなく手術を施行することが必要となる.術中血行動態増悪因子を検討した.【対象と方法】2007年4月から2015年3月までの当院施行の待機的単独OPCAB連続206例.Intraaortic balloon pumping (IABP) 不要のOPCAB症例195例をO群,術中にIABPを留置したOPCAB症例11例をI群とし,比較検討した.【結果】I群では左心室駆出率 (LVEF) が有意に低く僧帽弁閉鎖不全症 (MR) 重症度が高かった.冠動脈有意狭窄の頻度は差を認めなかったが,慢性完全閉塞病変と造影遅延病変は各領域でI群に多く認めた.IABP留置時期は麻酔導入時3例 (27%),吻合時8例 (73%) であり,吻合時IABP使用症例のうち下壁または側壁吻合前の脱転時が7例 (88%) であった.【結語】術中IABPを使用した症例では,低心機能で冠動脈閉塞病変・造影遅延病変の頻度が高く,IABP留置時期は側壁領域・下壁領域吻合の心脱転時が多かった.冠動脈閉塞病変や造影遅延病変を認める症例が,脱転時に血行動態増悪の可能性があることが示唆された.

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