日本緑化工学会誌
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論文
中・四国および近畿地方における自然侵入促進工の植生遷移に関する研究
中村 剛谷口 伸二坂巻 央藤原 宣夫
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2015 年 41 巻 1 号 p. 127-132

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抄録

種子を用いない植生マット工の植生遷移と,自然回復の効果を明らかにすることを目的として,5個所の施工地に7個の調査区を設け,最長7年間の植生調査を継続的に実施した。各調査区は立地により異なった植生遷移を示しつつ,最大57カ月後までに,全体の植被率が50%を越えた。木本の優占度(DT)もまた全調査区で調査期間を通じて増加した。生態学的な指標を用いて自然回復の過程を評価したところ,5調査区で出現種数の増加による自然回復の進行が認められたが,多様度指数(H’),周辺植生との類似度(QS)と遷移度(DS)は,全調査区で継続的増加を示さなかった。施工3~7年後の時点では,周辺植生との質的相違は大きく,自然回復の途上にあると言える。

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