2015 年 41 巻 1 号 p. 115-120
本研究では,都市に造成されたビオトープである「いのちの森」において,近年起こっている種多様性の低下の原因を調べるために,植生調査を行った。2003年と2013年の植生調査資料をDCA上に図示したところ,林床調査区及び木道下調査区については,相対照度,土壌含水率の低下が進行していることが示唆された。植生遷移の進行による樹冠の鬱閉,樹木の生長に伴う蒸発散量の増加などが原因による環境変化であると考えられた。このような変化に対応して,一年草,外来種などの攪乱依存種やシダ植物の減少,耐陰性や耐乾性に富む種の増加が確認された。