静脈学
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症例
ストリッピング術後に複合性局所疼痛症候群(CRPS)を発症した1例
福永 亮大郡谷 篤史隈 宗晴岡崎 仁児玉 章朗三井 信介
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2012 年 23 巻 3 号 p. 267-270

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抄録

●要  約:下肢静脈瘤に対するストリッピング術後の下肢痛の原因は,伏在神経障害であることが多い.今回,ストリッピング術後に激烈な下肢痛と歩行困難を訴え,複合性局所疼痛症候群と診断された1例を経験したので報告する.症例は43歳女性,下肢静脈瘤に対し,選択的内翻式ストリッピング術を行った.術後7日目に独歩退院となったが,術後12日目に痛みが増強したため外来受診となった.痛みは足関節部に限局し,歩行困難な状態であった.運動神経障害は認めず,当初は伏在神経障害を疑ったが,痛みは寛解と増悪を繰り返し,部位も移動し,アキレス腱部の痛みも訴えるなど,伏在神経障害とは異なる印象であった.本人希望もあり,他院受診にて,複合性局所疼痛症候群(CRPS)と診断された.ストリッピング術後の疼痛としては,伏在神経障害をまず考えるが,不釣り合いな痛みがある場合は,CRPSも鑑別することが必要と思われた.

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