静脈学
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症例報告
表在静脈血栓症と誤認した大伏在静脈に発生した血管平滑筋腫の1例
伴 祐子栗原 伸久広川 雅之
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2021 年 32 巻 1 号 p. 95-98

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抄録

血管平滑筋腫は平滑筋を発生母地とする有痛性の良性腫瘍であるが,血管外科領域での報告は稀である.われわれは大伏在静脈(great saphenous vein: GSV)に発症した本疾患を,表在静脈血栓症を合併した静脈性血管瘤と誤認した症例を経験した.症例は63歳男性,主訴は左大腿部の有痛性静脈瘤.静脈エコーにてGSV壁に連続した径14.3 mmの腫瘤を認め,壁在血栓を伴う静脈性血管瘤と診断,外科的切除適応とした.手術当日のエコーで初めて腫瘤が内部充実性,多房性で,カラードプラにて豊富な血流を有することを確認し,壁在血栓ではなくGSVの限局性腫瘍と診断した.手術は局所麻酔下に腫瘍を摘出し,病理組織学的検査でGSVに発生した血管平滑筋腫と診断した.臨床経過上繰り返す疼痛を有し,エコー上静脈壁に連続した充実性腫瘤を確認した場合は,本疾患を考慮しカラードプラ法により腫瘤の性状評価を行うべきである.

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