2010 年 21 巻 3 号 p. 277-280
下肢静脈瘤にて紹介を受けた症例の中に他疾患が存在することがある.症例は47歳女性であり,19年前出産後より右下肢大腿部内側の腫瘤病変に気付いた.腫瘤病変は徐々に拡大し,疼痛を伴うようになったため近医を受診した.下肢静脈瘤による血栓性静脈炎の診断にて,当院に紹介となった.初診時,右大腿内側に圧痛を伴う静脈瘤様の腫瘤を認めた.ドップラー聴診にて動脈性の拍動音を聴取した.超音波検査にて病変は腫瘤性病変であり,腫瘤内部に動脈性血流を認めた.Computed tomography(CT)ではグロームス腫瘍が疑われた.局所麻酔下に腫瘤摘出術を施行した.摘出は容易であった.病理検査結果は血管平滑筋腫であった.