リハビリテーションと応用行動分析学
Online ISSN : 2759-2588
Print ISSN : 1884-2658
認知症患者の拒否行動に対し関数分析を経た介入の検討
~病棟ADLに着目して~
小杉田 和樹田辺 尚中山 直之遠藤 晃祥
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2019 年 7 巻 p. 6-10

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抄録

本研究は,認知症患者の拒否行動に対して,関数分析を経た介入が効果的であるか検証した.病棟スタッフの移乗動作を観察すると,患者の苦痛表情が見られたが,拒否行動が生じていなかった.これは,車椅子移乗後に食事が提示されるため,痛みの嫌子よりも,食事の好子の方が強く機能していると推測された.誘導方法に着目すると,リハスタッフは「リハビリ行くので車椅子に乗ります」と伝えて離床を促していたが,病棟スタッフは「食事を食べに…」と伝えていた.このことから,『食事』という単語が弁別刺激となっていると推察された.介入期Ⅰでは,リハビリテーション開始時間を11時へ設定し,リハスタッフの口頭指示を「食事を食べに…」と変更することで移乗可能となった.介入期Ⅱでは口頭指示を「リハビリをしに…」と変更し,他のリハスタッフでも移乗が可能となった.この結果から,関数分析を経た介入は有効である可能性が示唆された.

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© 2019 リハビリテーションのための応用行動分析学研究会
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