2014 年 52 巻 3 号 p. 217-227
本研究の目的は、学校場面で行動問題を示す発達障害児に対する指導・支援を行うための連携方法の現状と課題を、2000年以降の研究論文を概観することにより分析することであった。分析観点は、対象児の学校、実態把握から評価までに関与した人物、目標の選定の観点、指導・支援計画の立案根拠、連携時のツールの用途・特徴などであった。該当論文数は35編であった。多くの対象は、小学校の通常学級に在籍する広汎性発達障害児であった。対象児の実態把握から指導・支援計画の評価までの連携では、大学スタッフ(大学教員および大学院生、大学生)、教師や保護者などによりツールが活用された。多くの研究では、目標は対象児の教育的ニーズが反映され、指導・支援計画は機能的アセスメントが適用された。ツールは、情報共有や指導・支援のために用いられた。通常学級へのニーズの高まりや、O'Neill, Horner, Albin, Sprague, Storey and Newton(1997)のツールを用いた効果的な協議方法、および、教師と保護者の課題意識が異なる場合の協議方法の検討、さらに校内支援体制を充実させるための研修会の必要性が示唆された。