2013 年 51 巻 1 号 p. 1-10
広汎性発達障害(以下PDD)の視覚的情報処理は、局所処理優位傾向であることが示唆されてきた。本研究では、この傾向が提示刺激サイズにかかわらず起きるか否かを確認することを目的とした。8名の高機能PDD児と18名の典型発達(以下TD)児に対し、数字の階層刺激を用いたストループ課題を実施した。その結果、高機能PDD児では大きな数字を回答する全体課題において不一致刺激の正答率の低下、中立刺激の反応時間の遅延といったストループ効果がみられ、局所優位の情報処理を行っていることが示された。一方、TD児では小さな数字を回答する局所課題において中立刺激、不一致刺激の反応時間の遅延がみられ、全体優位の情報処理を行っていることが示された。これらの結果は、提示刺激サイズを変化させても反応パターンは変わらなかった。このことから、高機能PDD児における局所優位処理、TD児における全体優位処理は刺激サイズには依存しないことが示唆された。