2011 年 49 巻 3 号 p. 317-329
小・中学校だけでなく高校においても特別支援教育を構築し、高校生が抱える多様な困難・ニーズへの支援の具体化が早急の課題となっている。本稿では、高校における特別支援教育の現状と当面の検討課題を探るため、(1) 近年の文部科学省や都道府県・政令指定都市教育委員会等の高校特別支援教育施策、(2) 学界・当事者団体等における高校特別支援教育に関する論議や調査研究、(3) 高校現場で取り組まれている発達障害等の特別な配慮を要する高校生への教育実践について整理し、これらの作業を通して高校特別支援教育の全体的動向を把握した。高校特別支援教育をめぐる動向のもと、発達障害等の特別な配慮を要する生徒への高校教育の保障という視点から、今日の高校特別支援教育の課題を検討した。特別支援教育を国公私立の区別なく促進していくために、高校が有する独自な問題・困難を明らかにしながら、特別支援教育の体制と実践の構築を推進していくことは喫緊の課題である。