特殊教育学研究
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「不器用」という語の用いられ方 : 子どもの動作不全を記述する用語としての検討
渋谷 郁子
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2011 年 48 巻 5 号 p. 361-370

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抄録

本研究は、発達性協調運動障害(DCD)の説明に用いられる不器用という語の、一般的な意味を明らかにすることを目的とした。(1)動作性、(2)時点、(3)身体部分、(4)起因、(5)観点、(6)持続性の6基準を用いて、「不器用」を含む動作の形容語40語について、一般学生89名に評定を求めた。その結果、不器用という語は「(1)動作性をもつ、(2)動作の遂行過程を表す、(3)身体の一部を使う、(4)技能が影響を及ぼす、(5)評価的かつ客観的な観点をもつ、(6)個人の特徴を表す」ことがわかった。クラスター分析からは、『精緻』『技巧』『速度』の3クラスターが抽出され、「不器用」は『技巧』クラスターに属していた。以上のことから、「不器用」は、動作の技能的側面と関係していること、練習に伴う動作の変化を示唆する『技巧』という意味を含んでいることにおいて、DCDと類似していた。しかし、身体の一部を用いた動作を表す点、個人の特徴に結びつけられる点で、DCDと異なる部分もあった。

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© 2011 日本特殊教育学会
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