本研究では、LDの診断を得た女子を対象に小中学校間の引き継ぎを実践した。その引き継ぎでは、(1)チームを組織し、(2)情報共有を促進し、(3)チームの組織や情報の共有の促進を図る人材の存在を重要と考えた。引き継ぎ会議は小中学校双方の関係者に連携・協働の実感をもたらし、中学校で「個別の指導計画」に基づく支援が展開された。その効果として、中学校では支援対象児への校内支援体制が全校規模で整備されることとなった。一方で、支援対象児は小学校時よりも授業参加意欲を高め、保護者の不安が軽減された。以上の結果は、「形式的」な引き継ぎではなく、「実質的」な引き継ぎを行おうとするためのマネジメントの効果と、それが奏功する学校長のリーダーシップおよび平素の信頼関係構築に支持されたと考察した。