特殊教育学研究
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能動的触察条件における点字のレジビリティーの検討
佐藤 将朗河内 清彦
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2000 年 38 巻 2 号 p. 53-61

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抄録

本研究では、点字触読に関する基礎的研究として点字のレジビリティーについての検討を行った。点字触読の熟達者19名(高等部3年生および大学生)は、より自然な触読状態を反映した実験条件の中で読材料を触読し、点字1文字ごとの認知時間が計算機システムにより記録され、これを基にデータの解析を行った。点字清音43文字の各文字の平均認知時間は非常に短かったが、この中でも認知時間に差が生じた。また認知時間に影響を与える要因について、点字1マス内の物理的特性の中から点字を構成する点の数、点字の外形、点のテクスチャー、点字を構成する点の位置を取り上げて分析したところ、点字を構成する点の数については、文字を構成する点の数が増えるにつれて明らかに点字の認知時間も増加していたものの、他の要因では全体的に認知時間に及ぼす影響はみられず、点字の冗長性のための手がかりとはならないことが明らかとなった。しかしながら各文字の認知時間の順位に注目して分析をしたところ、点字の物理的手がかりがレジビリティーに影響を与えている可能性が示された。

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© 2000 日本特殊教育学会
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