特殊教育学研究
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自閉症児におけるコミュニケーション・モードの選択に及ぼす要因の分析 : サイン・書字・音声の機能的使用のための訓練プログラム
野呂 文行山本 淳一加藤 哲文
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1992 年 30 巻 1 号 p. 25-35

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抄録

無発語自閉症児1名に対して、書字による要求行動の前提条件として、筆記用具を要求するためのサインの形成を行った。その結果、対象児の要求行動を含む行動連鎖場面において、筆記用具を要求するためにサインが使用された。また、先行訓練において反応型が形成されていない非教示サインや、音声モードも行動連鎖場面において使用された。さらに対象児は、3種類のモード(サイン・書字・音声)に関して、要求場面において等価な反応として使い分けが可能になった。これらの結果は、対象児によって示された反応が、特定の反応型に限定されない、要求の機能をもつ反応クラスとして働いていたことを示していると考えられた。加えて、実験条件ごとに示されたコミュニケーション・モードの選択を検討したところ、「先行訓練における強化経験」と「要求アイテムが提示されるまでに必要な反応数と時間」の2つの変数によってその選択が制御されていたことが示された。

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© 1992 日本特殊教育学会
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