特殊教育学研究
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障害児教育における最適空間 : 精神遅滞児と教師の最適距離
岩井 健次
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キーワード: 距離, 視線行動, 言語
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1986 年 24 巻 2 号 p. 35-42

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抄録

児童に不快、不安を与えずしかも対人的相互作用が成立するところの児童と教師との距離(最適空間)を明らかにするため、5名の精神遅滞児がすわる座席の位置について観察を行った。その結果、児童はそれぞれ一定の座席を占める傾向がみられた。その理由について、学校生活の様子及びハンカチ落としゲームの観察結果を通して考察を行った。そして、言語の発達に遅れを示す児童ほど教師に近い位置をとると考えられ、それは表情、動作といった非言語的なものから教師の指示内容や反応をとらえようとするためであると考えられた。言語の発達に遅れを示す精神遅滞児にとって教師から遠い位置は教師の表情をみることができず気づかれや不安を与える。それ故、これらの児童とかかわる際の最適空間を設定する上で、言語の発達の遅れという視点からみていく必要があると考えられた。

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© 1986 日本特殊教育学会
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