日本病院総合診療医学会雑誌
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Print ISSN : 2185-8136
症例報告
同一日に救急外来を受診した子宮留膿腫の2例
佐々木 澄子 宇根 一暢坂下 知久平野 巨通
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2024 年 20 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

【症例1】86歳女性。受診3日前から倦怠感を訴えていた。近医を受診し発熱,血圧低下を認めたため当院へ紹介となった。CT検査で子宮内に径約9cmの鏡面形成を伴った腫瘤を認め, 経腟エコーで確認後にドレナージを施行し約300mlの膿汁を認めた。【症例2】74歳女性。当院受診の1週間前から食事摂取量が低下し, 体動困難となり当院へ救急搬送された。血液検査で炎症反応の上昇を認め, CT検査で子宮内に少量の液体貯留を認めた。経腟エコー後にドレナージを施行したところ約10mlの膿汁を認め子宮留膿腫の診断に至った。 高齢女性において, 子宮留膿腫は発熱, 食欲不振など軽微な症状から敗血症性ショックに至るまで様々な症状を呈する。我々は救急外来で同一日に子宮留膿腫を2例経験したが, 高齢化のすすむ本邦においては今後さらに遭遇する機会が増えることが予想される疾患であり, 産婦人科医だけでなく一般内科医も知っておくべきと考える。

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