日本病院総合診療医学会雑誌
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Print ISSN : 2185-8136
症例報告
高齢認知症女性にみられた閉鎖孔ヘルニアの 1 例
鈴木 義夫井原 健太郎長谷川 修高橋 雄介
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2019 年 15 巻 1 号 p. 8-11

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抄録

症例は 89 歳の認知症のある独居女性で BMI 14.5 とやせ型であった。自立歩行困難,食事摂取困難となり,当院に救急搬送され,高度脱水を認めたため,入院となった。来院時に認めた高度脱水は輸液により改善した。食事を開始したところ発熱,嘔吐を認め,腹部CTにて閉鎖孔ヘルニアに伴う腸閉塞が明らかとなった。本 症例では入院時,腹部理学的所見に乏しかった。やせ型の高齢女性例では閉鎖孔ヘルニアが潜在性に存在していることもあり,食事を開始する前にはHowship-Romberg徴候(以下H-R徴候)を評価し,特に認知症を伴う場合は慎重に行い,疑わしい場合は腹部CTなどの画像診断を行うことが有用と考えられた。

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