2017 年 13 巻 3 号 p. 26-31
症例は糞便中の混入物の精査希望で紹介受診された 80 歳男性。便中に「蚕の繭状の小さな白い塊」「吸盤状の物体」「球状の物体」が混入していることに気づき,混入物を持参され受診。内視鏡検査および造影CT検査では消化管に異常を認めなかった。電子顕微鏡観察およびエネルギー分散型X線分析を行ったところ,糞便中の混入物はそれぞれ紙片,トマトもしくは他の野菜・果実類の種子,胡麻と推定された。糞便中の混入物を訴える患者の診療にあたることは稀であるが,混入物の同定に至れば治療計画の立案に繋がるだけでなく,患者にとって安心感,満足感が得られる。