1984 年 79 巻 2 号 p. 137-141
酒造場の清酒モロミ中の汚染酵母の検出に硫酸第二銅 (CS) 培地を適用して次の結果を得た。
1. 各清酒酵母問に若干銅感受性の差が認められたので, CS培地中の硫酸第二銅濃度は検査モロミの使用協会清酒酵母によって調整する必要が認められた。
2. CS培地によって検出された15酒造場から採取した29点の清酒モロミ中の汚染酵母数は極少であった。
3. 10酒造場から採取した清酒モロミからCS培地によって無作為に選択分離されたNon-Saccharomyces属25菌株を種々の菌学的性質から推定した酵母属は, Hansenulla属が15菌株で最も多く, 次にCandida属8菌株及びPichia属2菌株の3種類で, それらの生酸性は野生清酒酵母菌株に比べて顕著に高かった。
4. TTC重層法によって100%純度と見做された清酒モロミの極少汚染菌の検出用にCS培地の使用は有効であると思われる。
終りに, 各種清酒酵母を分与いただいた (財) 日本醸造協会並びに試料採取にご協力くださった各清酒製造業者に対しまして, 厚くお礼を申し上げます。