日本釀造協會雜誌
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味液醇化に関する研究第2報
酵母自己消化液による味液の醇化
松本 憲次滝本 滋夫
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1960 年 55 巻 3 号 p. 216-212

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抄録

1) パン酵母共他の酵母の自己消化液の味液醇化作用を検討した。
2) パン酵母に各防腐剤を添加して自己消化状態を試験した。
3) ストマイを使用してパン酵母を消化した液は味液の醇化に有効であつた。
4) 圧搾パン酵母に換算して0.2%の消化液添加で醇化の効果が現われた。その消化条件は30℃ で3-4日間位で充分である。
5) 自己消化液中の酵母菌体は味液の醇化には効果が見られない。
6) 自己消化液中の有機酸類が味液の醇化に役立つ様であり, 揮発性物質の方は余り影響がない様である。
7) 自己消化中バクテリアの繁殖が消化液の品質を悪化するので注意を要する。
8) 自己消化中に燐酸, グルコサミン, チラミン, 蟻酸, 醋酸フマール酸, コハク酸, 乳酸, マレイン酸不明酸, クエン酸, 蓚酸竿が出現する就中コハク酸が多い, 尚緩衝力も可なり増大することが認められる。

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