日本釀造協會雜誌
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三陸沿岸の魚汁生産状況
松本 憲次
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1944 年 39 巻 9-10 号 p. 334-337

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抄録

一、宮城縣地方の魚汁は同縣液體調味料製造組合が集荷加工して主として縣内の需要を充たし、一部水産物加工業工場に於て魚汁を佃煮製造用醤油代用として使用せらる。若し沿岸地域の魚汁を多量集荷せんとせば水産物製造業會の斡旋に依れば容易なり。
一、岩手縣沿岸地方は魚業者にして加工業者たるもの多く、魚汁は醤油釀造業者に賣渡され他は肥料に使用せらるゝも概廢棄せらるゝもの多し、魚汁使用の調味料につきでは水産試驗場、罐詰工場、其の他の加工品工場にて關心を以て試驗研究しあり。若し同縣内の魚汁を集荷せんとせば水産業會の後援斡旋により多量集荷せらるべきも唯燃料、容器、食鹽等を必要とするが如し。
一、青森縣は魚類の魚市場に全部水揚せられ夫々加工場に配給せらるゝを以て加工場にて一元的に魚汁製造し得らるゝが如く思はる、同縣にては醤油釀造業者と連絡し使用を完全し度き布望の如く見えたり。
要するに魚汁は時局の影響にて、魚獲不充分なる爲め期待するが如き魚汁を得ること能はざる状態なり。

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