日本醸造協会誌
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平成20~31年杜氏セミナー出品酒の解析
岡崎 直人稲橋 正明中原 克己蓮田 寛和武藤 貴史下飯 仁木﨑 康造平田 大奥田 将生
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2021 年 116 巻 4 号 p. 290-299

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抄録

1.酒米分析結果を踏まえた出品酒生産年度の特徴として,消化性Brixが出品酒のグルコースと極めて高い正の,火入れまでの日数,アルコール,日本酒度等の発酵経過に関する項目と高い負の相関関係が認められ,また,グルコースと総合評価の間に相関関係が認められ(p=10%),グルコース濃度が高いと総合評価は良好であった。

2.相関行列から出発した因子分析の結果,バリマックス回転後の因子1は,原料米の溶解性,醪の発酵性に関し,消化性Brixとグルコースが高く,総合評価が良いことに寄与し,因子2は,i-AmOHが高く,アル添量,酸度が低く,濃さ・きれいさに関する因子と解釈した。この結果は,清酒の味の基本的構造を提案した佐藤らの報告に沿った解釈が可能であった。

3.香欠点指摘数の少ないグループについて,成分分析値の出品年度毎の総合評価への影響を主成分分析により解析した。その結果,寄与の大きい項目としてEt-Cap,グルコース,日本酒度,アミノ酸度,i-AmOAcが選択された。しかし,Et-Cap及びグルコースの総合評価への寄与は,パネルの審査基準が変わることによって影響を受けたと推察された。

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