情報地質
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地層累重の法則に関連する公理系の試案
塩野 清治弘原海 清
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1992 年 3 巻 4 号 p. 203-210

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抄録

3次元の実空間Ωと地層名の集合Bとの対応関係f: Ω→Bから地層間の関係を厳密に定義して, それらの関係に関する3つの関係:
[A1] WW-1E=I, [A2] LW, [A3] CK
を公理として仮定したとき, それらから演繹的に導かれる諸性質を議論する.
A1を仮定すれば, 露出する地層の位置関係から地層全体の上下関係が推定できる.A2を仮定することにより, 地層の空間分布に関する順序構造すなわち層序という概念が生み出される.さらにA3を仮定することにより, 地層の形成順序という時間的関係をみいだす視点が発生する.また, A1~A3は, 一組の公理系として, 露出する地層の位置関係から地層の形成順序を推定できるという地質調査の原理に論理的な根拠を与える.
以上のことは, 地質学上の知識は公理から定理を次々に導いてゆくという公理論的な形式で体系化できる可能性を不している.

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© 日本情報地質学会
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