2014 年 25 巻 3 号 p. 159-168
地下水資源の持続的利用を図るには,多種の地下水調査データを統合し,帯水層を含む水理地質構造を詳細にモデル化することが不可欠であり,これにGISが有効に適用できる.そこで,本研究では上水の100%を地下水に依存している熊本市域を対象とし,垂直地質断面図,地下水位観測データ,数値地形モデル,シームレス地質図,湧水地点分布の5種類のデータとArcGIS(ESRI)を用いて,3次元地質分布,地下水位分布と経年変化,地下水位と降水量の相関,地下水位での地質,および湧水地の位置と地質・地形との関係を明らかにすることを試みた.解析の結果,垂直方向の高い透水性によって水位変動率が特に大きい部分が存在すること,領域西部は完新統の有明粘土層,西部はAso-4 火砕流堆積物が第一帯水層水位での主要地質となっていること,および湧水地は地形勾配の急変部で,表層付近の地質と帯水層地質の境界部に主に分布することなどを明らかにできた.