情報地質
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3次元地質モデリングのための離散数学講義ノート
塩野 清治
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2009 年 20 巻 4 号 p. 219-253

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抄録

離散数学とは有限の対象ないしは離散的対象を扱う数学の一分野であり,情報科学の基礎理論として最も重要な位置を占めている.地質学では連続な空間や時間を地質体や地質年代のように離散化して取り扱うことが多い.空間や時間を離散的に把握し,それらの相互の関係を考えるための数学的道具として,離散数学の考え方が有効である.本講座では,野外調査データから地質構造を推定する3次元地質モデリングに深く関連する部分に限定して,離散数学の有効性と必要性を解説する.主な考察の対象は,(1)地層の分布域と境界面の関係(地質構造の論理モデル),(2) 地質構造の論理モデルから地層の分布を定める関数,(3)地層の対比や区分を同値関係として表現・解析する手続き,(4)地層の形成順序を半順序による順序づけとして表現・解析する手続き,(5)野外調査データから地下の地質構造を3次元モデルとして確定するまでの手続きである.本講座を通じて,3次元地質モデリングにおける離散数学の重要性についての認識が深まることを期待する.

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© 日本情報地質学会
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