論文ID: 2024-1394
【目的】放射線業務従事者に対する放射線防護教育のあり方・やり方を検討するために病院における防護教育の実態に関する情報を収集する.【方法】全国の200床以上の精神科単科病院を除く1,883病院(全数)を対象にWebによるアンケート調査を実施した.【結果】回答が得られた186病院を分析対象とした.放射線業務従事者に対する定期的な防護教育は141病院(75.8%)において実施されていたが,防護教育が実施されていない病院が13病院(7.0%)あった.医師の防護教育の受講率が看護師や診療放射線技師の受講率に比べて低い病院が多かった.定期的に実施されている防護教育の頻度は年1回(94.3%の病院),1回あたりの教育時間は1時間以内(85.1%の病院)であった.教育内容は90%以上の病院で,放射線の人体影響,職業被ばくに関する教育を行っていた.70%の病院の防護教育の講師は,診療放射線技師であった.【結語】本調査により,病院によって定期的な放射線防護教育の実施状況が異なること,医師の防護教育の受講率が他の職種に比べて低いことが明らかになった.調査結果から,施設管理者及び放射線業従事者を対象に防護教育に関連する法令規定の周知を図ると共に,効果的・効率的な放射線防護教育モデルを学会等が中心になり検討していく必要性が示唆された.