環境化学
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ISO 21675に基づくPFAS水質分析におけるサロゲート回収率低下要因の検討及び大阪市内河川調査
市原 真紀子浅川 大地東條 俊樹谷保 佐知山下 信義
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2024 年 34 巻 p. 48-60

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抄録

日本では2020年に公共用水域におけるPFOS及びPFOAの指針値が定められたが,近年では代替PFASの使用が増加し,その環境影響が懸念される。そこで本研究ではISO 21675に準拠し,水試料中30種PFASの一斉分析体制を構築した。河川水の分析時,一部PFASはサロゲート回収率の低下が見られ,LC-MS/MS分析時のイオンサプレッションが原因と考えられた。超純水及び河川水を用いた添加回収試験では,PFAS回収率は各88~122%及び66~141%であり,各30種及び25種が回収率70~125%の範囲内であることから,分析精度が確認された。大阪市内河川調査では調査した30種中20種PFASが検出され,ΣPFAS30濃度は 24~11,000 ng L-1 であった。最も高濃度を示した神崎川では,その98%はPFHxAであり,フッ素樹脂メーカー事業場の影響が考えられた。6:2 FTSAは下水処理場放流水の影響を受ける地点から検出され,HFPO-DAは全地点から検出された。調査地域における2007年調査とのPFOS及びPFOA濃度の比較では,平均値で各10分の1及び7分の1に減少していた。

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