1995 年 21 巻 1 号 p. 6-12
癌転移遺伝子nm23は, その遺伝子産物がNDPキナーゼである事が明らかにされ, 乳癌においてその発現低下が転移・予後と相関する事が報告されている。今回われわれは, 頭頸部扁平上皮癌におけるnm23遺伝子の発現を免疫組織化学的に検討した。癌組織においてはNm23/NDPキナーゼの発現は様々であり, 一つの切片内にもheterogeneityがみられた。同一組織でサイトケラチン (CK) -13とCK-19の発現パターンを同様に検討すると, Nm23/NDPキナーゼの発現とCKの発現パターンとの間に関係がみられ, 癌細胞の分化度に関連する事が示唆された。一方臨床的には, 頭頸部扁平上皮癌においてもNm23/NDPキナーゼの発現低下がリンパ節転移と関連する事が示された。