2018 年 44 巻 1 号 p. 32-38
2009年7月〜2016年1月にかけて,臨床病期がⅡ期からⅣB期の下咽頭扁平上皮癌に対し,3次元原体照射法によるシスプラチン併用同時化学放射線療法を施行した65例を遡及的に検討した。
臨床病期症例分布はⅡ期24例,Ⅲ期14例,ⅣA期26例,ⅣB期1例であった。放射線治療の処方線量の中央値は66Gy/33回であった。先行頸部郭清術は12例に施行された。
観察期間の中央値は43ヶ月(9〜91ヶ月)であった。治療開始後3ヶ月までの治療効果判定はCR61例,PR2例,PD2例であり,2例に対し救済手術が施行された。CR症例のうち14例に照射野内再発を認め,救済手術は8例に施行された。3年の全生存率(OS),喉頭温存率(LPS),無増悪生存率(PFS)は各々75.0%,85.8%,74.0%であった。下咽頭癌に対する3次元原体照射法でのシスプラチン併用同時化学放射線療法の成績は良好であり,進行症例に対しても,先行頸部郭清術を積極的に施行することにより,喉頭温存率が高まった。