頭頸部癌
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第8回教育セミナー
頭蓋底・頭頸部肉腫に対する粒子線(陽子線・炭素線)治療
出水 祐介
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2017 年 43 巻 3 号 p. 372-376

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抄録

粒子線(陽子線・炭素線)は,深部で停止する直前に最大のエネルギーを放出するため,周囲正常組織への線量は低いまま,腫瘍へ高線量を照射可能である。炭素線は電離密度が高く,DNA二重鎖切断をより引き起こしやすいため,X線抵抗性腫瘍にも効果が期待できる。頭蓋底脊索腫・軟骨肉腫に対する粒子線治療のエビデンスは豊富な一方,頭頸部肉腫に対する粒子線治療のエビデンスは乏しい。2016年5月以降,陽子線・炭素線それぞれで全国的に統一された線量分割(統一治療方針)が用いられているが,これは全例登録と併せてエビデンスを出していくためである。また,粒子線治療には他の方法では治療困難な症例の紹介も多く,それなりの有害事象が予想されても受けざるを得ない現実があり,時に重篤な有害事象を経験する。分子標的薬等の新規薬剤との併用効果については,(異時性であっても)まだ不明な点が多く,慎重な対応が必要である。

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© 2017 日本頭頸部癌学会
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