2014 年 40 巻 4 号 p. 453-458
1987年1月から2011年11月の間に当科で初回根治手術を施行した耳下腺癌42例を対象に頸部郭清術の方針につき検討した。術前に頸部リンパ節転移を認めた症例(以下cN(+)群)は10例で,全例に患側頸部郭清が施行された。頸部再発を6例に認め,内2例は選択的頸部郭清施行例の郭清野外再発であった。術前に頸部リンパ節転移を認めなかった症例(以下cN0群)は32例で,内23例は予防的頸部郭清を施行しなかったが,後発転移を認めたのは1例のみであった。病理学的頸部リンパ節転移陽性例は11例で,転移部位は患側レベルIからVの全頸部に及び,全例で患側レベルIIに転移を認めた。
今回の検討から,cN(+)群に対しては患側の全頸部郭清が妥当と考えられた。またcN0群に対して予防的頸部郭清は必ずしも必要ではないと考えられたが,患側レベルIIの術中迅速病理検査が予防的頸部郭清の適応決定に有用である可能性が示唆された。