2014 年 40 巻 4 号 p. 432-436
舌亜全摘術における喉頭挙上術の併施の適応を検討する目的で,舌亜全摘術を行った44例を対象として後ろ向きに研究を行った。舌の切除範囲を健側オトガイ舌筋を一部切除したtype 1と完全に切除したtype 2に分類し,術後嚥下機能を術後初回VF時のAsRスコアを用いて評価し検討を行った。type 1(n=17)では舌骨上筋群の切除の程度によらずAsRスコアの平均は6点以上で,喉頭挙上術の併施によるスコアの向上は認めなかった。type 2(n=27)では舌骨上筋群の切除の程度によらずAsRスコアの平均は5点以上で,片側舌骨上筋群を切除した群では喉頭挙上術の併施により有意にスコアの向上を認めた。舌亜全摘術における喉頭挙上術の併施の適応は,両側舌骨上筋群切除例およびtype 2の片側舌骨上筋群切除例とするのが妥当であると考えられた。