2013 年 39 巻 4 号 p. 471-476
皮膚筋炎は悪性腫瘍を合併しやすい皮膚疾患の一つとして知られている。本邦では,胃癌,大腸癌などの報告は多いが下咽頭癌の合併例は極めて稀である。
症例は69歳,男性。2011年1月,咽頭異常感を自覚した。同年12月下旬に当院を紹介され受診し,下咽頭癌と診断された。診断後に上肢近位筋の筋力低下がみられ,精査したところ皮膚筋炎と診断された。
皮膚筋炎は悪性腫瘍が合併している場合は,腫瘍の治療を優先する。本症例では,術後,皮膚筋炎による筋力低下が著しくステロイドの漸減療法を開始した。しかし効果が乏しく,ADL低下が著明であった。ステロイド抵抗性と考えられ,ガンマグロブリン大量療法を行った。皮膚筋炎を伴う下咽頭癌の治療は,術後ADL低下により難渋する点を含めて治療計画する必要がある。