2009 年 35 巻 4 号 p. 329-336
われわれは耳下腺癌の皮膚欠損を伴う顔面神経合併切除に対して前外側大腿皮弁と大腿神経外側広筋枝や大腿皮神経で即時顔面神経再建を行っている。2003年10月から2008年12月までに,10例の耳下腺癌の顔面神経合併切除例に対して大腿神経外側広筋枝または大腿皮神経を用いて即時顔面神経再建を行った。移植した神経はnon-vascularized graft 5例,non-vascularizedとvascularized graftの併用5例であった。9例は前外側大腿皮弁を1例はperifascial areolar tissue(PAT)を同時に移植した。術後の顔面機能評価は柳原の40点法で行い,評価できた8例の点数は16~34点であった。大腿部は耳下腺癌の再建donorとして神経だけではなく皮弁,PAT,筋膜など様々な組織を複合して利用できる。