頭頸部癌
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パスを活用した頭頸部癌治療
頭頸部癌手術のクリニカルパスの有用性と問題点
―特に咽喉食摘,遊離空腸再建術のパスについて―
鬼塚 哲郎海老原 充飯田 善幸上條 朋之浅野 理恵石木 寛人中川 雅裕成田 圭吾大田 洋二郎上野 尚雄坪佐 恭宏佐藤 弘田沼 明
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2007 年 33 巻 3 号 p. 336-340

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抄録

クリニカルパスの利点には,治療の進行表としてチーム医療に有用であることやパスを見直すことよって医療内容の改善の機会が得られることが挙げられている。2002年11月から2006年6月までに咽喉食摘,遊離空腸再建術に対して,せん妄に起因するインシデント(転倒,管類の自己抜去)の減少を目的としてクリニカルパスの2回の見直しを行った。ICU泊数の減少(2泊から1泊),安静度を軽減する方向でパスの改変を行った結果,せん妄発生率の減少のみならず,中心静脈栄養の省略,平均経口摂取開始日の短縮,退院前日の食事摂取カロリーの増加などにつなげることができた。クリニカルパスは,まず各施設の実状に合ったパスを導入し,その後に発生した問題点に対してチーム全体で検討して,見直しをはかれば,結果として医療内容の向上につながっていく可能性がある。

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© 2007 日本頭頸部癌学会
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