頭頸部癌
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喉頭
喉頭垂直部分切除症例の検討
富所 雄一林 隆一石井 源一郎山崎 光男宮崎 眞和鵜久森 徹大幸 宏幸篠崎 剛林 智誠斉川 雅久海老原 敏
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2006 年 32 巻 3 号 p. 355-359

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抄録

1992年7月から2001年12月までに国立がんセンター東病院頭頸部外科にて喉頭垂直部分切除を行った喉頭がん80例(初回治療43例,放射線治療後再発37例)の術後機能および治療成績について検討した。局所制御率,喉頭温存率はそれぞれ80.0%,79.5%であった。術後の誤嚥発生率が披裂軟骨切除例において高い傾向にあったが,経鼻胃管抜去日が中央値で7日と,比較的術後早期に経口摂取が可能であった。輪状軟骨弓部切除例においても誤嚥発生率は少なく,声門下進展を認める症例にも本術式の適応が可能と思われた。また,健側の再発率は低く,喉頭温存術式において必ずしも健側声帯全長の切除は必要ないと思われた。病理組織学的にはparaglottic space(PGS)への浸潤を認めた症例において局所制御率が有意に低く,喉頭室や披裂に浸潤がんを認める症例ではCT,MRIにてPGS浸潤の評価を行い本術式の適応を慎重に決定する必要があると考えられた。

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© 2006 日本頭頸部癌学会
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