日本泌尿器科學會雑誌
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膀胱機能障害を合併したSLEの2例
杉山 高秀際本 宏江左 篤宣朴 英哲金子 茂男栗田 孝
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1987 年 78 巻 9 号 p. 1613-1617

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抄録

SLEの経過中に, 横断性脊髄障害による膀胱機能障害を合併した2例を報告する. 症例は48歳女性で1982年頃より腰痛, 両下肢のしびれが出現した. その後も症状の改善は認められず, 更に残尿感, 排尿困難を訴えるようになった. 膀胱内圧測定では, 利尿筋反射亢進及び無抑制収縮を示した. 自己導尿及び薬物療法にて, 治療後約2年目でほとんど残尿もなく良好なコントロールを得た.
他の1例は, 18歳女性で1983年に四肢振戦及び発熱が出現し, 精査の結果SLEと診断された. その後尿意消失, 排尿困難を認めるようになった. 自己導尿の指導を行い, 現在尿沈査も正常であり, 残尿もなくなった.
このように, 神経因性膀胱の治療において, 原疾患の治療そのものを期待することは困難であるが, 習熟したスタッフや泌尿器科医による適切な指導および訓練は重要であり, 尿路感染や残尿をコントロールでき導尿も要しない状態に患者を導くことも可能である.

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