日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
上部尿路 Dynamics からみた腎盂形成術の評価
(付) 経皮的腎盂尿管移行部切開術の1治験例
江左 篤宣杉山 高秀朴 英哲永井 信夫金子 茂男井口 正典秋山 隆弘栗田 孝
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1987 年 78 巻 12 号 p. 2161-2167

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抄録

1982年1月から1985年9月までに27例の腎盂尿管移行部狭窄症を経験した. 29腎に対して Anderson-Hynes 法による腎盂形成術を施行し, 術後3カ月以上経過した23腎について術前・術後のIVPによる腎杯の形態学的変化から, 手術効果を評価した. IVPによる改善率は61% (14/23) であり, 術後に悪化した症例はみとめなかった. この術前後のIVP所見と術前・術後に尿流状態を動的に評価しえる検査法である Pressure Flow Study (PFS) 及び diuresis renography の結果とを比較することにより Anderson-Hynes pyeloplasty 法による手術成績を検討した. 23腎中15腎に対し, 術後のPFSを施行した. 絶対腎盂内圧が25cmH2O以下を示した7腎はIVPで形態学的に改善を認めた. しかし2腎は絶対腎盂内圧が25cmH2O以上を示したにもかかわらずIVPで改善した. この2腎に対しては腎瘻カテーテルの留置期間を延長することにより, 腎盂尿管移行部の良好な尿流通過が得られた. diuresis renography を術前7腎・術後6腎に対して施行した. IVPで改善の得られた3腎は術後の diuresis renography で, 全ての非閉塞型を示した. IVPで改善の得られなかった3腎のうち2腎は術後閉塞型を示した. PFSは腎盂尿管吻合部の通過状態を鋭敏に評価し, 腎瘻カテーテルの留置解除といった術後管理の上でも不可欠なものであると考えられた. diuresis renography は術前・術後の腎盂尿管移行部の尿流通過状態を評価するだけでなく, 腎機能を把握できる鋭敏な検査法であると考えられた.
腎盂尿管移行部狭窄症に対する内視鏡的手術として, percutaneus pyelolysis を施行し, 良好な成績を得た. 症例は25歳の女性で, 腎瘻から20Frの直視下内尿道切開刀を挿入し, 腎盂尿管移行部の後内側を筋層まで2ヵ所切開した. 術後腎盂尿管移行部に8Fr feeding tube を留置し, 術後9日目に feeding tube を抜去した. 術後のIVP・diuresis renography で腎盂尿管移行部の尿流通過状態の改善が証明された.

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