日本泌尿器科學會雑誌
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神経線維腫症に合併した腎血管性高血圧症の1例
吉井 慎一金子 昌司友政 宏石川 悟石川 博通小磯 謙吉
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1986 年 77 巻 8 号 p. 1353-1362

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抄録

神経線維腫症に合併した腎血管性高血圧症の1例を報告する.
症例は5歳の男児で頭痛を主訴として他院に入院し, 高血圧発作をおこしたため精査目的で本院に転院となった. 入院時の血圧は, 220/140mmHgで全身に Café au lait spot を認めた. 末梢レニン活性は41.0ng/ml/hrであった. またカプトプリルの投与により血圧は低下傾向を示した.
血管造影では左右の腎動脈の狭窄と左腎動脈瘤を認めた. さらに動脈瘤の末梢の腎実質には梗塞があると診断された. 部位別静脈血のレニン活性では, 左側が有意に高く, しかも梗塞の疑われる部位からの静脈血の値が最も高かった. このため高レニン血症には左腎動脈瘤とその支配領域の梗塞病変が最も強く関与しているとの判断で動脈瘤を含めた腎部分切除術を施行した.
カプトプリルを術前に比べ減量しても, 10カ月間患者の血圧は正常に保たれている.

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